第19回グローバル人材育成研究会
グローバル&自立型人材に求められるコラボレーション促進スキル~新たな価値を生み出す為の関係性開発
今回のゲスト森和成講師から、「関係性開発」のコンセプトを基に、自分自身の自立と、同僚・部下・上司のみならず、顧客・パートナー企業との関係を構築し、新しい価値・商品・サービスを生み出すコラボレーションのスキルについてご講演いただきます。
ソフトバンクテレコムにおけるプロフェッショナル人材育成
~ Professional & Collaboration ~
さらに今回は、ソフトバンクテレコム株式会社より人材育成ご担当者様をお招きし、同社のワークスタイルである「Professional & Collaboration」の実現に向けた人材育成の取り組みについてご紹介いただきます。
基調講演では、グローバル・エデュケーション布留川氏より、グローバル人材・自立型人材育成へのアプローチについて、特に今年の企業ニーズから見た最新動向について解説をいただきます。
【開催日時】
2006年12月8日(金) 14:00~18:00
【講演者】
森 和成 (もり かずなり) 氏
【略歴】
アールギア・グループ代表。関係性開発(Relationship Development)のスペシャリスト。青山学院大学卒業後、株式会社ビジネスコンサルタントにて、営業責任者を歴任。その後、アクセンチュア株式会社にて、経営コンサルティングに従事。 2003年、同社、アライアンスディレクターへ就任。
2005年、株式会社アールギア・グループ設立。同社代表取締役として現在に至る。人・組織における様々な関係の改善・構築・強化等の問題解決を数多く手掛けており、特に顧客との関係性開発(Customer Relationship Development)や営業研修では、自身の豊富な経験も踏まえており、定評がある。
【主な研修プログラム】
セールストレーニングプログラム
関係性開発研修
セルフエスティーム
【内容】
13:40
開場
14:00
「2006年の企業ニーズから見たグローバル&自立型人材育成の最新動向」
<講師:布留川 勝氏 グローバル・エデュケーション代表>
15:00
「ソフトバンクテレコムにおけるプロフェッショナル人材育成
~ Professional & Collaboration ~(仮)」
<講師:ソフトバンクテレコム株式会社
人事部マネージャーの西村 明子様>
16:00
「グローバル&自立型人材に求められるコラボレーション促進スキル
~新たな価値を生み出す為の関係性開発」
<講師:森 和成氏 グローバル・エデュケーション講師>
17:45
質疑応答
18:00
終了予定
第19回グローバル人材育成研究会の様子
師走時のあわただしさが漂いはじめた去る12月8日(金)、渋谷・宮益坂の「渋谷サンスカイルーム」を会場に、第19回目の研究会が開かれました。お忙しい中、25名の人事ご担当者にお集まりいただきました。
まずはじめに、布留川講師から、「2006年:グローバル&自立型人材育成のニーズ」と題し講演をいただきました。
最初に、「グローバル人材育成手法の振り返り」として、1980年代後半に、仕事のできる25~35歳の優秀な人材が、さらに英語力をプラスすればという方針で「国際化研修」をおこなったが、その20年後、果たして「グローバル人材」として育ったのかという疑問を提示され、今現在のグローバル人材育成の取り組みが、10年先にどうなるか、国際化研修と同じ轍を踏むのでは?と警鐘を鳴らされるところから始まりました。
では、グローバル人材のスキルとは何か。その定義として、仕事のできる人材+英語力という旧来の基準ではなく、経営・技術フレームワーク(リーダーシップ、プロアクティブ思考、ファイナンス、マーケティング、経営戦略など)、コミュニケーション力(プレゼンテーション、ネゴシエーション、コーチング、メンタリングなど)、英語力(グローバルイングリッシュ)のスキルセットに加え、グローバルマインドセット(アサーティブネス、プロフェッショナリズム、折れない心)を中核に持つ人材像を示されました。
そうして、コア人材のグローバル化や、中間管理職のマネジメント力強化、若手社員の早期自立・行動力強化といったニーズに対し、「個々の人材が心の底から、グローバル人材(自立型人材)になりたいと決意できる仕組みがないのではという課題を明確にされ、ではそれぞれの研修で、受講生を本気にさせる仕組みとしてどんな例があるかを、国内研修や海外研修の具体的な例を挙げ、優秀な人材が研修に参加する「入口」と、次の研修参加者に刺激を与えられるようなキャリアパスを見せる「出口」の仕組みを作ることで、研修への参加意欲を引き出し、組織への波及効果を高めていく道筋を説明されました。
また、「優秀な人材が一人いれば10万人食わしていける。囲碁の1級を10人あわせても、初段の一人にはかなわない」という李健煕会長の言葉どおりに、戦略的に人材育成に取り組むサムソンの事例の紹介も印象に残る内容でした。
さて、10分の休憩の後、ソフトバンクテレコム株式会社人事部マネージャーの西村明子様に登場いただきました。
本年10月社名変更にともない、ソフトバンクBB、ソフトバンクモバイルとの連携を通じて、法人向けソリューションビジネスを展開する同社が、どのような人材育成に取り組んでいらっしゃるか、本日のご参加の皆さまは、熱心に西村様の説明に耳を傾けていらっしゃいました。
まず、とりまく環境変化と求める人材像のご説明として、知識社会化、ブロードバンド化、コンバージェンス、グローバル化、ソリューションと、テロ、BRICS、M&Aなどの予測が難しい環境の変化に対応するために、
Speed & Innovation
↓
Professional & Collaboration をキーワードに挙げられました。
そして、ソフトバンクテレコムビジョン=「ソフトバンクテレコムは、21世紀のネットワーク社会におけるライフスタイル、ワークスタイル、ビジネスモデルを提案し、最先端の技術を使い、その実現を推進します」の実現には、人事制度(課長職級以下の廃止、プロジェクトごとにラインから選ばれチームが組まれる)も、職場環境(フリーアクセス、ペーパーレス)も、研修制度(学びたいものを学びたい時に、教育から学習へ)も大きく変えなければと説明され、オーケストラのような指揮者はいないが、お互いがプロフェッショナルとして、相手の音を聴きながら、調和し統合して音楽を作るジャズバンドのスタイルを、写真を示しながら説明されました。
さらに、その「人財マネジメント」のフレームを示されましたが、その主な内容を補足説明を加えてまとめてみますと、次のようになります。
「ありたい姿を描く、目標を定める」
能力定義書(仕事上で発揮された、実証された能力の絶対的な基準)
※事業フロント部門について必要とされるマーケット能力(ビジネス・トランスフォーメーション、ITソリューション、NWソリューション、ビジネスデベロップメント、インダストリー、プロジェクトマネジメント)の6つの中から上位2つについて6つのレベルで評価)
能力開発計画(PPDP=Personal Professional Development Plan)制度
※具体的な手順としては、1年後・3年後のキャリアゴールに向けて、能力開発ポイントの整理、具体的な計画に落とし込むなどを、コーチのアドバイスを受けながら進め、上司の合意を得て各自が主体的に実施。
コーチ制度(キャリアや能力開発に関するよき相談相手、任期1年)
↓
「能力を伸ばす、活かす・発揮する」
研修制度
※主体的な学習を重視し、オンデマンドで受講できる体制を用意。ラーニングポータル、汐留本社内のキャンパス、e-Campusなどの学習環境の整備。
※学習時間目標として、事業フロント部門年間60時間、事業サポート部門45時間を設定。1.5時間の短い講義も効果的。また受講者がびっくりするような講師を招き、講師から150%の効果を引き出すように仕組む。
プロジェクト制
※すべての仕事はプロジェクト。だれのために、いつまでに、何をするか。
↓
「能力を評価する」
能力評価制度
※上司(本部長、部長などのラインマネージャー)、プロジェクトリーダー、アセッサー(事業フロントのみ、マーケット能力評価)、コーチが多面的に能力開発を支え、評価。
実質40分ほどの短い時間の中で、会社の文化や背景、仕組みまで細かくお話しいただき、誠にありがとうございました。何よりも印象的なのは、西村様の人材育成に対する情熱、凛とした姿勢でした。出席された皆さまからも、強い共感を得たというお言葉をいただきました。重ねて、感謝申し上げます。
15分の休憩の後、本日のメインとなる森和成講師の登場です。そして、いきなり上の写真のように、「人間ポーカー」のスタートです。
机の上にあるカードを各自が1枚ずつ取って、カードを相手に見せず、その場に居合わせた相手に話しかけながら、もっとも高い役を作るというゲームです。ポーカーで役を作るには、5人(枚)がそろわなければなりません。
※(参考)ポーカーゲームの基本ルール
1,ポーカーの役(下に進むほど強い役)
ノーペア=以下のどの役も無いもの
ワンペア=5枚の中に同じ数字のカードが2枚ある(ペア)もの
ツーペア=5枚の中に2種類のペアがあるもの
スリーカード=5枚の中に同じ数字のカードが3枚あるもの
ストレート=5枚すべてが連続した数字のもの
フラッシュ=5枚すべてが同じスート(スペード・ダイアなど)のもの
フルハウス=5枚がペアとスリーカードになっているもの
フォーカード=5枚の中に同じ数字が4枚あるもの
ストレートフラッシュ=5枚のカードがフラッシュとストレートになっているもの
ロイヤルストレートフラッシュ=ストレートフラッシュのうち、A,K,Q,J,10とそろっているもの
2、カードの強さ
(強)A>K>Q>J>10>9>8>7>6>5>4>3>2(弱)
15分の制限時間の中で、相手への情報発信、相手との情報交換などさまざまなコミュニケーション、コラボレーションの課題が出てきました。前提となるポーカーゲームのルールはスライドでの説明もありましたが、活用できる知識となっていらっしゃる方とそうでない方とは差が出てしまいます。まず主体的に声を挙げないと、相手には伝わりません。共有する目的となる「役」を決めて集まらないと、成立させることはできません。森先生がおっしゃるように、目に見えない壁があるようでした。
残り時間があと8分となり、カードを実際に見せあってよくなった時に、カードの絵柄の確認ミスがあったりしました。あと3分になると、メンバーの入れ替えや、役になれない人は、残りのカードとの交換を許されるなど、本日のテーマを考えるためにきわめて意図的に仕組まれたゲームであることを、まず参加者は身をもって体験することからこのワークショップが始まりました。
(ちなみに、ストレートフラッシュやフォーカードを作られたチームがあり、ご褒美のチョコを先生からいただきました)
森先生の講義が始まりました。まずは、フリードマンの「フラット化する世界」を引いて、グロバリーゼーションの、1.0(「国」が、グローバルに栄える方法、生き残る道を考えなければならなかった時代)、2.0(「企業」が・・・)、3.0(「個人」が・・・)に至る背景を説明され、こうした時代には、「コラボレーションスキル」が求められており、Co+laborという語源に、協働によって新たな力・価値を創出するという意味が含まれていると解説されました。
そして、いよいよ本題の『コラボレーション7つの鉄則』についての講義に進みます。核となる星型の図の5つの頂点と、それを包む円に特徴があるスライドが示されました。「二つ以上の組織・個人・事柄、それぞれの関係(間)をフィット=FIT(マイケル・E・ポーターからの引用)させ、協働による新たな価値を創出する人、すなわちコラボレーターが注力すべき7つのポイントは、次のようになります。
1コミュニケーション Communication(取り巻く円の部分)
2相互理解 Recognition
3相互期待 Expectation
4共有ミッション&ビジョン Mission & Vision
5プロセス共有 Cooperation
6実りの共有 Fruition
7自己評価 Selfーesteem(核の部分)
実際の研修においては、さまざまなワークシートの作成があり、また理解を進めるため多くの例を引かれて説明をされるそうです。講演の最後に、実際に森先生の研修プログラムを導入されたご企業から、そのようすや成果についてお話しがありました。
具体的なプログラムのコースガイドについては、別途資料を用意しておりますので、ぜひお電話又はメールなどでお問い合わせ下さい。
最後に、今年1年の研究会への皆さまのご協力に感謝申し上げますと共に、来るべき2007年におきましても、変わらぬご支援、ご指導を心よりお願い申し上げます。どうも、ありがとうございました。