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これまでの開催内容

下記のグローバル人材育成研究会第20回「バリュー・ビジョン共有型チームビルディング研修のご紹介」は盛況のうち開催されました。当日の模様はこちらでご覧いただけます。

第20回グローバル人材育成研究会

バリュー・ビジョン共有型チームビルディング研修のご紹介

今回のテーマは、「チームビルディング」。中土井 僚(なかどい りょう)講師による、AI(Appreciative Inquiry)*のコンセプトをベースにした「バリュー・ビジョン共有型チームビルディング研修」の一部をご体験頂きながら、皆さまとともに自らの組織・チームにオーナーシップを持てる、Assertive型組織作りついて考えていきたいと思います。

「合併組織の融合」、「管理職研修」、「プロジェクト/新組織のキックオフ」などに適した新しい研修としてぜひご検討いただきたいものですが、まずはこのワークショップを通してご自身でその効果をご体験ください。

※AI(Appreciative Inquiry)は、米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学のデイビッド・クーパーライダー教授が提唱し、ノキア・英国航空・BP・NASAをはじめ、多くの組織で導入されている新しい組織開発のプログラムです。

また基調講演では、グローバル・エデュケーション布留川氏より、Assertive型組織作りをねらいとした人材育成の例をご紹介いただきます。

【開催日時】
2007年3月2日(金) 14:00~18:00

グローバル人材育成講演者 中土井 僚氏写真

【講演者】
中土井 僚(なかどい りょう) 氏

【略歴】
オーセンティック・アソシエイツ代表
アンダーセンコンサルティング社(現アクセンチュア)にて、経営・IT・組織コンサルティング業務に従事。アクセンチュア退職後,インタービジョン社にて,企業組織の中で働く人々の個性と組織との関係に着目したFFS理論(Five Factors & Stress理論)を用いた組織・人材のコンサルティング業務に従事し,その後ウイルソン・ラーニングワールドワイド株式会社にて人材開発のコンサルティング業務に携わる。 2001年にコーチ養成機関であるCTIジャパンのトレーニングを受け、コーチとしての活動を開始。
2003年にオーセンティック・アソシエイツを設立。経営者へのコーチング、リーダーシップ、組織開発の観点からのコンサルティング、ワークショップ、ファシリテーションのサポートを行う。
寄稿記事に「コーチングのプロが教える 社員を『仕事好き』にさせる法」(日本実業出版社「経営者会報4月号」,2006年)

 

【内容】
13:40
開場
14:00
「『Passive型組織 → Assertive型組織』への変革と人材育成」
<講師:布留川 勝氏 グローバル・エデュケーション代表>
15:00
「バリュー・ビジョン共有型チームビルディング研修のご紹介」
<講師:中土井 僚氏 グローバル・エデュケーション講師>
17:45
質疑応答
18:00
終了予定

第20回グローバル人材育成研究会の様子

啓蟄の節気を前にした去る3月2日(金)、リージャス新宿パークタワーセンター30階の会議室「桔梗」を会場に、第20回目の研究会が開かれました。お忙しい中、29名の人事ご担当者にお集まりいただきました。まずはじめに、布留川講師から、「『Passive型組織 → Assertive型組織』への変革と人材育成」について講演いただきました。

第20回グローバル人材育成研究会その1

「なぜ今、アサーティブネスなのか?」
はじめに「Assertive(アサーティブ)」という言葉をご存知かどうかをご参加者に挙手いただきました。人材開発のご担当者ですので、大半の方の手が上がりましたが、実際のところ、日本の学校教育では、AssertionやAssertivenessという言葉を知る機会がなく、当然その概念も理解されていない、という指摘がありました。

調和・協調という価値観を重んじる組織の中では、ふだんはPassive(受身)だが、急にAggressive(攻撃的)になったり、またはその逆であったり、またAggressiveがさらにsuper-Aggressive(逆ギレ)になったりという傾向があるが、こういう人材では、グローバルはおろか国内でもやっていけない。それでは、Assertiveな人とは、どんな人なのか。それについては、明確な人生の目的があり、周囲を幸せにする人今の居場所で本気で幸せになりたい、成功したいと思っている人という説明がありました。

では、なぜアサーティブが求められるのか。トーマス・フリードマンの「フラット化する世界」から引用し、
グローバリゼーション1.0(国のグローバル化)
グローバリゼーション2.0(企業のグローバル化)
グローバリゼーション3.0(個人のグローバル化)
の過程を経て、今日の世界は、互いの価値、前提を尊重した関係作り、コミュニケーションがより求められる世界であり、「個人がグローバルに栄えるか、せめて生き残れる方法を考えなければならない」という背景を説明され、そのためのアサーティブを主張されました。

それでは、アサーティブな状態とはどういう状態か。キーワードとして、誠実、率直、対等、自己責任などを挙げ、心を開き、自分自身の要求に応えるべく努力するという考え方を示されました。

さらにそうしたビジネスパーソンの例として、孫正義氏と柳井正氏の対談記事(プレジデント2007.2.12号)の一節を引かれ、このお二人のアサーティブな考え方や行動力を指摘されました。

アサーティブという表現はもともと、1970年代に人権擁護の思想と女性解放の理論を土台として発展した考え方で、責任を伴った自己主張や自己表現、交渉の方法論として、広く取り上げられるようになりました。

これを、企業組織の中で見た場合、
Assertive型組織 厳しい意見交換もあるが将来を見据え活発に議論
Passive型組織 目の前の課題についてのみ、言われたことだけをやる
Assertive型組織 明確な責任の所在に基づき、現場レベルで迅速に決定
Passive型組織 責任の所在が曖昧で、決定が遅れ、前例主義がはびこる
など、企業における総合力の決定的な差になりかねない問題です。

組織配置としては、人材としてPassiveあり、Aggressiveありと雑然とした中に置くよりも、要所毎にアサーティブな人材を配し、まわりへの影響力を生かしながら、育成に配慮していくというアドバイスがありました。

最後に、アサーティブネスは、トレーニングによって身につけられるものであり、その育成プログラムは、マインドセット、コミュニケーションスキル、関係構築、思考力などのそれぞれにおいてふさわしい研修コースがあり、この後に行われる中土井講師の「バリュー・ビジョン共有型チームビルディング研修」も、マインドセットをアサーティブにする研修としてじっくり体験いただきたいとして基調講演が終了しました。

 

15分の休憩の後、いよいよ中土井講師の登場です。

第20回グローバル人材育成研究会その2

ワークショップに入る前に、ご自身の経歴を説明されました。外資系コンサルティング会社では、システム開発の仕事をされ、それこそチームを組み、分業体制を取りながら、明確なミッションに基づく業務に従事されました。この仕事では、「1回は身体をこわさないと仕事が足りない」「2回身体をこわすと身体が弱い」と言われるそうで、御多分にもれず中土井氏も業務中に救急車で病院に運ばれたそうです。

自分は、この仕事に向いていないのではないか。激しいストレスのせいで、20代で髪をなくした、と頭をなでながら、職場の環境としては決して幸せなものではなかったと述懐され、だれもがプロ意識を持って懸命に努めているにもかかわらず、「あいつは使える。あいつは使えないから代えよう」などと、人間を道具のように見る考え方に違和感を覚えられ、そのような時に、榎本英剛氏の設立間もないCTIジャパンを通じて「コーチング」に出会われました。

「自分の中に問いかけていくだけで何かの答えが見つかっていくコーチングのすばらしさ」に出会い、自身が講師として活動されるようになった中土井氏は、エグゼクティブ・コーチとしてこれまで31名にのぼる経営者の方に対応されたそうです。

第20回グローバル人材育成研究会その3

今回は、組織開発の手法を人材開発に向けてアレンジし、研修のプログラムとして2日間のコースにまとめあげられたものを、およそ3時間ほどの限られた時間の中で、その一部をご参加者に体験いただくことになります。

この研修の3つの目的・狙いをまず説明されました。
1 一人一人の価値ある体験を共有し、チームの一体感を創り出す
2 実現したい未来の姿を共有し、めざす方向性を明確にする
3 実現したい未来に向かって、今自分が何をすべきかを発見する

過去・現在・未来の展開のなかで、本日のパートとしては、時間の関係もあり、主に過去の部分に焦点をあてておこなっていただくことになりました。

写真からお分かりいただけるように、本日のワークショップは、あらかじめそれぞれ6名ほど5つのチームに分かれて着席いただきました。そしてまずは、同じ人材開発の担当者同士とはいえ、所属の会社も経験も異なり、また初対面の方も少なくないので、アイスブレイクを兼ねて次のような課題が出されました。

 

A4の紙を配って、プロッキーなどのマーカーで
テーマ:今いちばん関心を寄せているテーマを疑問形で書く(1枚以上)
質問:本日のワークショップで聞いてみたい質問を書く(あれば)
をほんの5分間で書き出してもらい、会社名・氏名も明記いただきました。

 

さらに2分ほどの時間内で、お隣の方と自己紹介がてらに、なぜぞのようなテーマを書いたのかなど、内容についての会話を双方交わしていただき、それを左右の壁面にマスキングテープやセロハンテープで貼り出してもらいました。そして、他の人が書かれたものをそれぞれを眺めてもらいながら、共感を抱くテーマや、自分も同意見の紙の余白に、社名、氏名をサインするというかたちで、およそ40枚ほどの紙が壁一面に並びました。

第20回グローバル人材育成研究会その4 第20回グローバル人材育成研究会その5 第20回グローバル人材育成研究会その6

ご参加者の表情が、だいぶ和やかになり気持ちもほころんできたところで、スライドを使って、重要な説明をされました。

それは、「組織力向上の鍵は、関係の質にある」というものです。
参考資料として、ダニエル・キム氏の「システムシンキング」から引用された構図は、
結果の質が高まれば、関係の質が高まり、
関係の質が高まれば、思考の質が高まり、
思考の質が高まれば、行動の質が高まり、
行動の質が高まれば、結果の質が高まる
という、時計まわりの好循環を示すループでした。

第20回グローバル人材育成研究会その7

これは、質が低くなれば悪循環にもなる構図でもあります。

関係を高めるために昔から取られている伝統的な方法は、「飲み会」だそうです。しかし、WEB2.0の差し迫る現状の職場環境では、それも限界に来ているようで、そこで今回のチームビルディング研修の提案になるわけです。

「コア・バリューの結晶化」のセッションに入りました。
ディスカバリーインタビューシートは、本来のものは10ページもあり、片道60分のインタビューを双方がおこなうものです。質問文をそのまま読み上げて質問し、相手の話に耳を傾けて、ポイントやキーワードをシートにメモしながら進めていきます。今回は、簡易版として15分のものを作成いただき、「あなた自身とあなたの仕事」「あなたが最高に輝いた瞬間」についてのインタビューを実施いただきました。

インタビューのようすを写真ではご紹介ができませんが、1対1の対話のあたりからご参加者の声も弾んでこられたようで、これに続く「インタビューのシェア」、すなわち、お一人2分の持ち時間で、先ほどインタビューをした方について「他己紹介」のような形で、グループの中で話をしていただくあたりから、あちらこちらににぎやかな会話の花がさきほころび始めました。

個人個人の中に眠っているすばらしい体験を発掘するという、この「ディスカバリー」から、今度は、チームとしてのコア・バリューをシンボル化する演習に入りました。

コア・バリュー(ポジティブ・コアとも言われますが、本ワークショップの直前の打合せで、よりわかりやすいこの表現を採用されることになりました)とは、「その組織が持つDNAともいえる本質的・絶対的な価値」と説明されています。

チームごとに、先ほどのインタビューをチームで共有した、最高の瞬間の物語を振り返り、そのストーリーから、何が自分たちのチームの本質的・絶対的な価値であるのかを話し合っていただき、ホワイトボードに、主要な要素を、5つから8つ取り出すよう指示がありました。

さらに、そのコア・バリューのイメージを話し合い、メタファーを決めていただきます。そのメタファーをもとに、ひとつの絵やオブジェを創り上げることになります。コア・バリューのコラージュと称されるものですが、このためにあれこれ集めたさまざまな材料(色画用紙などの文具類、風船やモール、パーティーグッズなど)を使い、そのコラージュの中には主要な要素の言葉も記述していただきます。

5つの卓上には(本来は広い空間を使って、床の上で作業をしたりするそうですが)、それぞれユニークなオブジェが出来上がりました。

第20回グローバル人材育成研究会その8 第20回グローバル人材育成研究会その9

ご参加者の楽しそうな表情を、アップでお見せできないのは残念ですが、限られた短い時間にも関わらず、立体的で表現力に富んだ作品を創り上げたチーム力は、さすが人材開発のプロフェッショナルの集まりでした。すてきです、すばらしいですね、と中土井講師も繰り返されていました。

研修プログラムとしては、過去から現在に至り、さてこれから未来へというところで、予定の時間が迫ってきました。

 

チーム・組織の真価を発掘する「ディスカバリー」
未来のイメージ、チーム・組織の目指したい夢を描く「ドリーム」
ドリームを実現するための理想的な組織・リ-ダーシップの姿の「デザイン」
ドリームの実現に向けた取り組みを検討し、実行計画を作る「ディスティニー(ディシジョン)」
と本来は進んでいくのですが、その2日間の研修の一部分の体験からも、このプログラムの可能性について、各ご参加者なりに手ごたえを感じていただけたのではないかと思います。

第20回グローバル人材育成研究会その10 第20回グローバル人材育成研究会その11

最後に、AI(アプリーシエイティブ・インクワイアリー、Appreciative Inquiry)についての紹介とともに、本研修や他の一般的な研修との比較をおこない、AIの特長を採り入れながら、研修という位置付けで実施するこのプログラムについて説明をいただきました。

「価値を認める問い」というAIは、個人のスキルを追求するものではありません。組織を機械でなく、生命体としてとらえる考え方には、あいつは使えないから交換しようなどという、機械部品のように人間を見る考え方から最も遠いところにあります。参考資料として流していただいたUSセルラー社のAIの記録DVDには、明るく元気な笑顔の参加者の映像が満ち溢れていました。

通常は、ファシリテーターとしてこんなにしゃべることはないと中土井講師がおっしゃるように、今回は、研修のご紹介として、時間的な制約の中で、できるだけご参加者に納得がいくよう説明を増やしていただきました。

ワークショップの最中もそうでしたが、終了時の会場には、満ち足りた笑顔があふれていました。

スキル研修ばかりの現行のカリキュラムに手詰まり感を抱いておられる育成担当の方から、大変興味深かったというコメントをいただいたり、「関係の質」という表現に、なるほどとうなずいたという感想をいただくことができ、ほっと胸をなでおろすとともに、マイクなしでも、シンプルで力強く響く声同様に、まっすぐなお人柄がしのばれるファシリテーションで、楽しく充実した3時間を過ごさせていただいた中土井講師に心より感謝申し上げたいと思います。
また、お忙しい中長時間のプログラムにご参加いただいた皆様に、厚くお礼を申し述べさせていただきます。本当にありがとうございました。

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