第24回グローバル人材育成研究会
セルフOJTトレーニング
「(若手・中堅の多くが)全体像を把握し、納得しないと動かない」、
「コンセプチュアルな仕事ばかりしたがり基本動作がおろそかになっている」、
「管理職が多忙で部下を育てる余裕がない。結果が部下が育たず、管理職がプレイヤーとして更に忙殺されている」、
「若手・中堅の視座を引き上げたいが有効な手立てがない」、
「キャリア研修をやっているが、目標は立てるが行動へ落ちているように見えない」
多くの人材育成ご担当者より、このようなお話をお聞きします。
しかし、これまでの研修では、「キャリア研修」、「論理思考研修」、「コーチング研修」と部分ごとの学びになっており、統合的に「仕事」について考えられる研修がありませんでした。
この研修では、若手が主体性を持って自らのキャリアを切り開くためのマインドとスキルを身に付けることで、自立を促進します。
そして、中堅社員にとってはこれまでの業務経験の体系化と、より効果性の高い後輩・部下の育成のスキルが体得可能となります。
堀田講師ご自身の、味の素(株)における、営業・マーケティング・総務・人事と多面的に組織に携わってこられた中での「思い」が詰まったプログラムです。ぜひこの機会にご体験下さい。
また基調講演では、グローバル・エデュケーション布留川氏より、グローバル人材&自立型人材育成の最新動向について事例と共にご紹介いただきます。
【開催日時】
2008年2月18日(月) 14:00~17:00
【講演者】
堀田 孝治(ほった こうじ) 氏
【略歴】
CREATE・J代表
1966年12月生まれ。 1989年中央大学法学部卒。
1989年に味の素株式会社に入社、同年7月に東京支店外食課に配属となり、大手外食チェーンをクライアントとした営業活動を行う。1992年にはその取組みが評価され支店表彰を受賞する。
1994年には企画スタッフとして大手外食・中食企業の対応力強化に向けた新組織を企画立案し、広域営業本部外食グループを立ち上げる。同組織では開発の総括として営業・開発一体となった開発型営業のマネジメントを行う。
1995年にマーケティング部門である本社冷凍食品部に異動。プロダクトマネージャーとして業務用のハンバーグ、冷凍麺等や大手企業向けの特注品の製品開発を担当する。
1997年に東京支社総務部に異動し、約500名規模の営業組織の人事・総務を担当する。冷食事業・油脂事業の分社に伴う営業体制の再編を推進する一方、教育担当としての若手営業担当者の育成に注力する。
2002年に本社人事部採用・教育グループに異動となる。総括として採用業務の推進と全社の教育体系、教育計画の再構築を行う。全階層の教育を運営しながら、自ら新人研修や「7つの習慣」の講師として研修のファシリテートも行う。
2005年に課長昇格とあわせて広告部広告企画グループに異動。「クノール」「ピュアセレクト」「パルスイート」などのブランドの広告・宣伝マネジメントと組織運営に従事する。
2006年12月に味の素㈱を退社し独立。現在は豊富な実務経験を活かして、研修講師やコンサルティング、就職支援、執筆等の様々なアプローチから人材育成とマーケティングを支援している。
キャリパープロファイルジュニアアナリスト
GIAL認定 アクションラーニングコーチ
2007年7月には(株)ファーストプレスより、著書「生まれ変わっても、この『仕事』がしたい」を出版。
【内容】
13:40
開場
14:00
「グローバル人材&自立型人材育成の最新動向」
<講師:布留川 勝氏 グローバル・エデュケーション代表>
14:30
休憩
14:40
「セルフOJTトレーニング」
~自らのキャリアを切り開く部下を育てる~
<講師:堀田 孝治氏 CREATE・J代表>
16:30
質疑応答
17:00
終了予定
第24回グローバル人材育成研究会の様子
寒さの中にも春の気配が感じられるおだやかな日差しの、去る2月18日(月)、リージャス新宿パークタワーセンター30階の会議室「桔梗」を会場に、第24回目の研究会が開かれました。お忙しい中、29名の人事ご担当者にお集まりいただきました。
まずはじめに、布留川講師から、「個人のグローバル化を考える」と題し講演いただきました。
コア人材のグローバル化、若手新人のグローバル化をはかる国内のトレンドの説明があり、グローバルトレンドとして、台頭するBRICsの急速なグローバル化の進展を指摘され、高給の日本人に代わって、グローバル人材として優秀な仕事をこなすLow Income High Global Performerの存在を、5年後のキャリアリスクとして話されました。
グローバリゼーション3.0として「個人のグローバル化」の時代を唱え、「互いの『価値』、『前提』を尊重した関係作り、コミュニケーションがより求められる世界」において、「個人がグローバルに栄えるか、せめて生き残れる方法を考えなければならない」(『フラット化する世界』トーマス・フリードマン著)の引用の後、MITのOpen Coursewareの紹介があり、http://ocw.mit.eduにアクセスすれば、最新の知識や情報が、だれでも、どこにいても手に入れることができるようすを実感いただきました。
グローバル人材としての自分を実現するためのプロジェクトの中で、英語学習についての具体的な学習法について、具体的な説明や、1年を切る位のスケジュール立てがよいなどのアドバイスがあり、アイリッシュパブに出かけて、趣味についてのMy Storyを語るなどのわかりやすい話題を取り上げて終了となりました。
15分の休憩の後、堀田孝治氏(CREATE・J代表)にご登場いただきました。「セルフOJT」プログラム~OJT概念のパラダイムシフト~というタイトルで、まずは、自己紹介を兼ねて、どのようにしてこの「セルフOJT」開発に至ったかを、熱意をこめて、またユーモアをまじえて分かりやすく話されました。
独立起業されたCREATE・Jの社名のJについては、パートナーの奥様共々、Jの付く言葉が好きだということで、自分らしさ、自由、JOB、事業、自信、充実、Joyfulなどの創造のお手伝いをしたいということでした。具体的には、キャリア支援、就職支援、研修トレーナーの仕事をされておられるそうで、昨年出された「生まれ変わっても、この『仕事』がしたい」(ファーストプレス)という本を案内されました。
味の素株式会社での18年にわたる多様な勤務経験、すなわち、営業からマーケティング、さらには総務、人事部での採用・教育業務、そして広告業務と、事業系から管理系まで幅広く体験された自己紹介のあと、各島に分かれたご参加者にも、最後の晩餐に何を食べるかを、リーダーと目された人を示しあって、その人から時計回りに話を進めていくところから、もうすっかり堀田さんのペースです。
「セルフOJT」開発の背景となる堀田さんの味の素での経験談が始まりました。営業に配属されたばかりの堀田さんは、部長さんに「今日は何をしたらよいでしょうか」と尋ねたそうです。売上目標に達するなら何をしてもよいと言われ、学生気分で時間割を求めた堀田さんに、先輩からは、「君は地図がほしいんだね」「地図はない、あげない」「自力でたどり着いてみろ」と言われたそうです。
企画書の作成にあたっては、「型」を教わったという話がありました。何度も何度も繰り返し書き直しをさせられることで、考えることの習慣が養われたそうです。
30歳の時に、9ヶ月の休職という「挫折」を経験された後、「七つの習慣」というプログラムに出会われました。自分に最も抜けていた、「自立」や「ものの見方」という点に気づいたそうです。こうして、「研修は役に立つ」という自らの経験をふまえ、人事部の教育担当になった堀田さんは、今日の基盤となる経験を重ねられました。
広告部のマネージャーになられたとき、また大きな衝撃を受ける経験がありました。プランの書けない部下、部下をどやしながら、自分でもプランの書けない上司、ロジカルシンキングの研修を勧めたら、既に受けたとの回答、研修がつながっていない、生かされていないことへの衝撃でした。プランの書ける「できる」人たちにインタビューをして見ると、その人達も、死ぬほどプランを書き、いっぱい×をつけられて、何ども書き直すことで書けるようになったということでした。
ここで、ひとつのケースを取り上げての演習です。仕事の段取りのできない、顧客の期待する仕事のできない広告代理店入社3年目の「堀田君」に、どのような「教育」がふさわしいかという課題です。
コミュニケーションスキルを受けさせるという提案のほか、慰安旅行の幹事をさせる、仕事に対する姿勢、顧客に対する姿勢を正すなどの意見も出ました。
「セルフOJT」プログラムの概念の説明が行われました。次の3つの要素からなる考え方で、それぞれをコンピューターの機能に置き換えられましたが、それぞれが互いに関連し、成長(後退)の影響を与える点がコンピューターとは違うと説明されました。
出入力スキル(アプリケーション) 理解する、伝達する、計画する
土台(OS) メンタルモデル、自選力、自治力
地力(CPU) 地頭、信頼、対人感度
すなわち「セルフOJT」とは、自身で、現場で、アウトプット能力を向上させていく手法であり、マジックのタネを知ってもマジシャンにはなれない、トレーニングが必要という、やり続ける→できる→わかるという基本的な考え方を説明されました。
小休止の後は、モデルセッション1として、「時間管理」(タイムマネジメントについてのアドバイスを各グループで話し合ってもらいました。「自治力」とは、ビジネスの時間割は自分で創る、時間は管理できない、管理するのは「自分」という説明がありました。
自治力向上のステップとして、2週間分の予定の現状を分析し、重要度と緊急度の度合いで分類し、緊急ではないが重要なことに、レバレッジポイントを置き、ゴールに向けた逆算スケジュールや人間関係を構築し、手順をフォーマット化し、効果的な「型」による「出入力」をおこなうことがレバレッジ(てこ)になるという説明は、経験の裏打ちがあるだけに、説得力がありました。
2つめのモデルセッションとして、「出入力スキル」が取り上げられ、PREP法の解説がありました。
Point(結論)ビジネスでは、結論から話す。
↓
Reason(理由)理由は3点ほど用意する。
↓
Example(具体例)
↓
Point(結論)
という展開を、イメージタレントを起用して会社の広告活動をするという想定に従い、実際に2人の組になって実習をしていただきました。
ビジネスを効果的にする「メンタルモデル」については
- 「価値」でとらえる どれだけ相手に価値があるか
- 「逆算」でとらえる ゴールイメージから逆算
- 「両立」でとらえる 自社の利益も相手の利益も、品質も価格も
- 「同時多角的」にとらえる ひとつずつでなく、同時に(皿回し)
- 「当事者」でとらえる 相手のニーズが分かっているか
の5つについて説明され、
結論 why
so what 理由 why
so what 具体例
というPrep法の構造をしっかりと理解いただきました。
さらに、「セルフOJT」のコンテンツとして、自選力、自治力、出入力スキルと地力の説明がなされ、特に、出入力スキルの型(出力としての目次法、Prep法、たとえ話、プランニングシート、アイデアシート。入力としてのヒアリングフレーム、知情意)など、具体的なまとめをいただきました。
味の素での実体験をふまえ、考え方だけでなく具体的な運用にまで言及した今回のセミナーは、ソフトでわかりやすい話しぶりとあいまって、ご参加者の皆様に十分理解いただけたのではないかと思います。講師として、今後のますますのご活躍を願う次第です。
また、お忙しい中ご参加いただいた皆様に、厚くお礼を申し述べさせていただきます。本当にありがとうございました。