第51回グローバル人材育成研究会
成果を出せるチーム・組織のモチベーショナルマネジメントとは?
2010年6月9日(水)開催
- ダイバーシティ環境でモチベート 出来る人材の要素は?
- 部下を活性化するためのモチベーショナルマネジメントとは?
第1部
『ダイバーシティモチベーターワークショップの動向
~国籍・価値観・世代・性別・職種を超えてモチベート できる人材は何が違うのか?』
「より複雑化した組織の中で、パフォーマンスを出していくにはモチベーターとしての要素が必要不可欠である。誰しもがモチベーターになり得るのか?また人をモチベート出来る人材に必要な要素とは?」
国籍・価値観・世代・性別・職種・・・。ダイバーシティの環境で今まで以上の成果を求められる時代、個々が最高のパフォーマンスを出すことが成功の秘訣である。ダイバーシティの中でも部下や仲間をモチベートでき、組織を盛り上げていける人材の要素を考えます。
おススメ:ダイバーシティマネジメント
第2部
『リーダー・部下を活性化するモチベーショナルマネジメントの紹介』
「部下指導への意欲はあるが、なかなかうまく いかない管理者およびプロジェクトリーダーなど コミュニケーションを通して、現場で相手の可能性を引き出す必要のある方 ・よりよい部下指導をめざしている方」
リーダーとして部下のやる気と明日からの具体的行動を引き出すために、4つの 「自分軸」があり、その軸に応じて、段階的にコーチングをしていくスキルを身につけることをねらいにしています。部下が上司にコミュニケーションしやすい状況をつくることもねらいの一つです。部下の①やる気、②能力、③やり方を引き出すことで個人の充実を満たすばかりでなく、組織の生産性につなげるための具体的な手法を身に付けます。
おススメ:管理職研修、チームビルディング研修
人事ご担当者様には、万障お繰り合わせの上、ご出席いただけますようお願い申し上げます。ご参加は無料です。
【開催日時】
2010年6月9日(水) 14:00~18:00
【講演者】
グローバル・エデュケーション 講師
平本 あきお(ひらもと あきお)氏
【略歴】
ピークパフォーマンス代表
1965年神戸生まれ。東京大学大学院(専門は臨床心理)修士課程修了。クリニックや病院でのカウンセラー、専門学校講師、セミナーリーダー等を経る。1997年渡米。シカゴの大学院(Adler School of Professional Psychology)でカウンセリング心理学修士課程修了。精神科デイケア、小学校、州立刑務所で心理カウンセリングを実施。NLP(神経言語プログラミング)やコーチング他様々な手法も取り入れる。2001年9月帰国。以来、大手電気メーカーでの企業研修をかわきりに、多数の民間企業・官公庁をサポート。
公開セミナーも多数。経営者・起業家・投資家・アスリート・著名人への個人セッションが人気。他、メディア・執筆等で活動中。大リーガーを1対1でメンタルの側面からサポートすることで、競技の結果・成績に直結。早稲田大学ラグビー部中竹監督(大学選手権優勝)や柔道100キロ超級石井慧選手(北京オリンピック金メダリスト)、他もサポート。“プラスをもっとプラスに“導くメンタルコーチ。
【内容】
13:40
開場
14:00
『ダイバーシティモチベーターワークショップの動向
~国籍・価値観・世代・性別・職種を超えて モチベートできる人材は何が違うのか?』
<講師:布留川 勝氏 グローバル・エデュケーション代表>
15:00
『リーダー・部下を活性化するモチベーショナルマネジメントの紹介』
<講師:平本 あきお氏 グローバル・エデュケーション講師>
17:30
質疑応答
18:00
終了予定
第51回グローバル人材育成研究会の様子
去る6月9日(水)、新宿NSビル30階のNSスカイカンファレンスを会場に、第51回目となる研究会が開かれました。お忙しい中、17名の人事ご担当者にお集まりいただきました。
まずはじめに布留川講師から、「ダイバーシティモチベーターワークショップの動向」と題し、国籍・価値観・世代・性別・職種を超えてモチベートできる人材の育成について解説いただきました。
ダイバーシティ(多様性)は、3C(Culture,Characteristics,Career)2G(Gender,Generation)の異なる人間が、同じ組織で働く中で、イノベーション(革新)を生み出すという。2010年のイノベーティブな企業ランクには、上位にApple,Google,Microsoft,IBM,Toyotaの各社の名が挙がっている。Appleが開発したI Pod(I Tunes,I Phone,I Padも含め)には、ビジネス(MBA)、工学(M.Eng)の他に、音楽やアート(MA)のような、異なる価値観、専門分野を持った人材を掛け合わせることで、こうした革新的な商品開発につながった、という。
異質を受け入れ活用する組織は、刺激が多く、クリエイティビティに富み、それがイノベーションにつながる。一方、同質を好みそれを維持しようとする組織は、刺激が少ない、等質なチームで、効率が高い特徴がある。
イノブベーティブな会社とはどんな会社か、については、UCバークレーのIsaacs教授の、「イノベーティブな会社は利益率が高い」という言葉を引きながら、では、「日本は同質効率型で行くのか、異質イノベーション型で行くのか?」について、4つのグループに分かれ、10分ほどのディスカッションをしていただきました。
一つのグループは、条件付きでダイバーシティを認めイノベーションを進めていくご意見でした。本心は同質を好む中で、ダイバーシティのスキルを身につけていくしかない。講師からは、日本の社会が迎える少子高齢化と、移民問題の指摘があり、マーケット(市場)を求めて国外に出ていかざるを得ず、海外から働き手を国内に受け入れなければならない事情を説明されました。また、同じように条件付きで認める意見の別のグループからは、日本の企業が長年に渡る活動の中で培った同質だが効率的に生産するよさをふまえるべきだとの指摘がありました。
その他、インターネットの急速な普及と、国境の壁がどんどん低くなっていく現状、あるいは、安く効率的なものづくりが海外でも容易にできる現実をふまえ、ダイバーシティに取り組む必要性を訴える意見をいただきました。
ついで、国籍でその人を見るのではなく、例えば、動機や欲求の違いを、4つの要素の強弱バランスで整理したD-i-S-C理論をふまえ、どういう対応をするかの紹介がありました。
実際に、ダイバーシティモチベーターを育成するためのワークショップ例の説明に続き、次々回(第53回、7/15)の研究会で取り上げる予定の、日産自動車ダイバーシティー推進室がおこなっているプログラムの一つとして、面知的(面白い+知的)というキーワードをふまえ、楽しみながら取り組んでいただける教材として「異文化コミュニケーション eラーニング」のビデオを紹介しました。
さて、15分の休憩のあと、いよいよ本日の講師である平本あきお氏に登場いただきました。
これまで、この研究会でも「ピークパフォーマンスコーチング」のご紹介をさせていただいた2005年6月の初登壇以来、その、1億3千万人の日本人を「元気」づけるパワーあふれるワークショップをご案内してまいりました。
今回は、「モチベーショナル・マネジメント」をテーマに、また各企業内の研修にできるだけ活用いただけるよう、ご参加者には、実際の研修コースを体験いただく2時間半ノンストップのセミナーとなりました。
まずは、みんなで声を出しながら手を上に精一杯伸ばして、お隣ににっこりとご挨拶。そして、ビジネスにおける「やる気」や「モチベーション」について簡単に話し合っていただきました。
平本講師の話が続きます。
「やる気」には、テンションとモチベーションがある。テンションは、身体的で、一時的なもの。テンションだけでは、がんばれない。一方、モチベーションは、心理的で長期的なもの。外発的なモチベーションは、たとえば、お金や褒美やポストなどを与えることで高められるが、今の時代、そんな余裕は会社にもない。腹の中から静かに湧き起こる内発的なモチベーションは、どのようにしてもたらすことができるか。
平本セミナーの特徴は、「楽しく+体験する」こと。ドーパミン(ワクワク)と、セレトニン(安心)がいっぱいあふれるように、自己紹介のアイスブレイクも、「○○が好きな□□です」と、体を動かして身振り手振りの自己紹介を、2分間で出来るだけ多くの方としていただきました。
ついで、二人一組のペアワーク。どこに行って、何をしたいかを話すAさん、いいね、いいですねえという思いで聞いてあげるBさん。相手の肩をたたいて、いいですねえと応えるご参加者の皆さんの声も、自然と大きくなりました。
自分軸を支える2つのものについて、説明がありました。
- 自分軸を明確にすることで、やる気、能力、やり方が引き出せる。
- 本当はどうありたい?(ありたい姿、ビジョン、夢)
- 自分にとって、何が大事?(自分らしさ、価値観、こだわり)
- そこにたどりつく方法(目標、資源、手段)
- 必要な能力、スキル
どちらかといえば自分が「価値観型」と答えられたのが、16名中12名、「ビジョン型」と答えられたのが4名でした。日本人の7~8割が価値観型といわれています。自分らしさにこだわりながら、ありたい姿にボトムアップしていく「価値観型」、人生のありたい姿から、そうなるためにトップダウンしていく「ビジョン型」。案件レベル、現職レベル、キャリアレベル、ライフレベルにおいて、それぞれのレベルにおけるコーチングの例を取り上げていただきました。
この過去・現在・未来を、会社における具体的な場面として体験いただいたのが、現職レベルでの自分軸を引き出す次のセッションです。
頭の中には、地図があり、それを俯瞰してみてみるように、床の仕切りのそれぞれには、6つの言葉が記されています。その場所に立って、二人一組のペアワークを、相手を代えながら体験いただきます。
(きっかけ)
―この会社に入ろうとしたきっかけは?
―へえ、具体的には?
―なるほどねえ。
(当初)
―この会社に入ってよかったことは?
―いろいろありますねえ。
(業務)
―好きな業務、嫌いな業務、よく困難を乗り越えた業務、失敗だった業務
―いろいろありますねえ。
(人間関係)
―あの人を尊敬している、きらいだ、うまくいった、うまくいっていない
―そんな人がいたんですねえ。
(現在)
―大事にしていること
―いろいろありますねえ。
(未来)
―未来に持っていきたいできごと、思い、学んだこと
―いっぱい学びましたねえ。
―どんな会社に、どんな職場に、どんなチームになってほしいか。
―ぜったいになりますよ。
周りに立って、自分のたどった会社人生を指でなぞっていただきます。
―いいこと、しましたねえ。
それぞれの場所にいる自らに思いをめぐらして、
―よく、がんばっているなあ。
一人一人の思いを引き出し、会社と自分自身が共有していた時間や空間を思い浮かべるこのセッションでは、ご参加者の明るい元気な表情が印象的でした。
未来に立っていらっしゃるご参加者の皆さんの背後や、平本さんの肩越しには、建設中のスカイツリーも望まれ、こうして2時間半のセミナーは終了しました。
最後に、中外製薬顧問の熊谷文男様から、この研修を実際に導入された経緯と結果についてお話しいただきました。
情熱的で、分かりやすいが、下品(?)、touchyな講師という印象も、直接の研修ご担当者が、平本講師を取り上げた2度にわたる研究会への参加を経て、確信を持ってご推薦いただき、234名のライン長のご研修で大成功を収められたとのこと。社内のイントラネットで取り上げられたようすもご紹介いただき、実際の導入を検討いただく皆さまには、とてもありがたい説明をいただきました。
お忙しい中、ご参加いただきました皆様に、厚くお礼を申し述べさせていただきます。ぜひ各社の「元気になる」研修プログラムとしてご検討をお願いしたいと思います。
皆さま、本日は長時間、本当にありがとうございました。