第23回グローバル人材育成研究会
「マネージャー層の危機管理対応力を考える」~部下・メンバーのメンタルヘルスの課題への取り組み~
今回の第23回グローバル人材育成研究会では、管理職層に求められる危機管理・危機対応力の一つとして、ますます重要度が高まる「メンタルヘルス」の課題に、人材開発部門としてどのように取り組むかを考えます。
国内・グローバルビジネス問わず、価値観の異なる人材との協働、M&Aや異業種との提携などが増える中、個々の人材へのストレスがかかる場面も増えています。 しかし、現場の最前線において対応が求められる管理職層は、担当部門・チーム内にメンタルヘルスの課題があっても、対応の方法が分からないという悩みをお持ちではないでしょうか?
今回は、日本オラクル株式会社より人材開発部ディレクターの宮之原隆氏をお招きし、さらに、昨年5月開催の第17回研究会で、「メンタルマネジメント力」についてご講演いただいた脇田啓司講師を交え、研修プログラムの実践例をふまえた具体的な事例発表を予定しております。
宮之原氏からは、日本オラクル株式会社ではどのようにその課題に取り組んでいるか?マネージャー向け研修として「メンタルマネジメントコミュニケーション」を導入したその背景、そして結果どのような変化が組織に生まれつつあるか? についてご報告いただきます。
脇田講師には、研修の概要やキーコンセプトを解説いただきます。 質疑応答の時間も十分設けておりますので、各社の事情をふまえた課題について、積極的な意見交換の場となればと考えております。
また基調講演では、グローバル・エデュケーション布留川氏より、「マネジメント層のグローバル対応」についてお話しいただきます。
【開催日時】
2007年11月12日(月) 14:00~17:00
【講演者】
宮之原 隆(みやのはら たかし) 氏
【略歴】
日本オラクル株式会社人事本部人材開発部ディレクター
日本大学社会学科卒業後、1991年に東急エージェンシー(総合広告会社)に入社。派遣人事・企画厚生・人材開発を経験し、2000年に日本オラクル株式会社へと移る。採用マネジャーとして価値人材を増やす仕事を努めた後、人材開発ディレクターとして社員育成、組織開発に従事する。
【講演者】
脇田 啓司(わきた けいじ) 氏
【略歴】
脇田事務所代表。シニア(中級)産業カウンセラー
1990年立教大学社会学部卒業後、人材情報会社で企業の新卒採用活動支援業務を担当。その後、中堅ゼネコンにて人事採用教育業務を経験し、バブル崩壊でリストラ業務を担当。その頃から社員の「心のケア」に強い関心を持つようになり、キャリアの方向転換を図る。2000年より、EAPコンサルタント、キャリアカウンセラー養成スクール講師、ストレスマネジメント研修講師として活動をスタート。2003年より、独自の「ストレスマネジメント研修」を開発実行し、多数の大手企業を担当。2006年よりフリーの研修講師として独立、現在に至る。トレーナーとしての生涯のテーマは「ワーク&ライフバランス」の追求。受講者の「生き方」や「働き方」に深く関わり、心に響くトレーニングを日々目指している。
『メンタルマネジメントコミュニケーション』研修について
「自分と仕事に対する考え方が全く合わないメンバーへの対応」、「部下・メンバーが塞ぎこみがち・・・」
マネージャーとして対応の難しい場面でのコミュニケーションや、自分自身や部下・同僚の感情、物の捉え方をより多面的に理解することで、相互理解を深めることをねらいとしています。また、うつ病、ストレスから来る心身症、アルコール、タバコ などへの依存症といったメンタルヘルスの問題に対しての対応や、日常のコミュニケーションから早期対応できるよう、考え方と基本的な対応ノウハウの習得もねらいとしています。
【内容】
13:40
開場
14:00
「マネジメント層のグローバル対応を考える」
<講師:布留川 勝氏 グローバル・エデュケーション代表>
14:30
休憩
14:40
「マネージャー層の危機管理対応力を考える」
~部下・メンバーのメンタルヘルスの課題への取り組み~
<講師:宮之原 隆氏 日本オラクル株式会社人事本部人材開発部ディレクター>
<講師:脇田啓司氏 脇田事務所代表 グローバル・エデュケーション講師>
16:30
質疑応答
17:00
終了予定
第23回グローバル人材育成研究会の様子
ようやく秋の色も深まってきた去る11月12日(月)、リージャス新宿パークタワーセンター30階の会議室「桔梗」を会場に、第23回目の研究会が開かれました。お忙しい中、25名の人事ご担当者にお集まりいただきました。
まずはじめに、布留川講師から、「グローバル&自立型人材育成に求められるチームビルディング的要素」について講演いただきました。
グローバル化による文化の違いを超えた協働業務が増え、チームビルディングの要素がグローバル研修の中でも比重が高まってきていると指摘し、具体的な研修の内容について、James Dougherty講師、中土井僚講師、平本相武講師など、これまでも研究会でご紹介した講師の実際の例を挙げながら解説いただきました。
15分の休憩の後、日本オラクル株式会社の人事本部人材開発部ディレクター宮之原隆氏に登場いただき、「マネージャー層の危機管理対応力を考える」と題し、部下・メンバーのメンタルヘルスの課題への同社の具体的な取り組みについてお話しいただきました。
積極的なM&Aで、オラクル日本法人は1700名を超える規模になったとのこと、中途で入社する者も毎月30名を数え、企業向けソフトウェア製品の開発からサポートに至る厳しい業務の中で、「ストレス」が増加し、「ざわざわ」とした空気が目立ってきたという。
その「ざわざわ」の要因は、
■「Global」と「日本」のハザマ
■多製品/多職種/多カルチャー
■「スピード」と「クオリティー」
にあり、メンタルマネジメントに取り組むことになったとのこと。
メンタルウェルネス実現には、3つの要素があり、
1 人 支え合うコミュニケーション メンタルヘルスの正しい知識
2 環境 利便性・効率性のある仕事場 個人・集団のための癒し場
3 仕事 成長を実感できる仕事 貢献が実感できる仕事
について、事前にできることとして、たとえば、ふんだんに緑を置き、木製家具を取り入れ、犬のWendyや亀、蟹、小鳥などを飼うなど、仕事環境の整備のようすを説明されました。
また、人事本部にフィールドHR部を新設、10名ほどのメンバーが、
■欠勤者・体調不良者の確認とヒアリング
■「メンタル」トラブルのシューティング
■各種手続きのガイドや窓口
など、組織や社員をフォローする業務を行っているそうです。
さらに、相談できる産業医を正社員として雇用し、ついで
マネジメント層への正しい知識のインプット
→マネジメント向けトレーニング「メンタルマネジメントコミュニケーション」
社員としてのセルフマネジメントの促進
→全社員向けセミナー「ストレス・セルフマネジメント」
という取り組みをおこない、
■メンタルな問題を抱えている社員を早期に発見
■マネージャー層と部下とのコミュニケーションの改善
■マネージャーのメンタルヘルスの問題への意識の向上
という成果を得たと報告いただきました。
そこで、そのマネジメント向けトレーニングの実際の内容を知っていただくため、脇田啓司講師に登場いただき、参加者の皆様に「アセスメント質問用紙」をお配りして、実体験いただくことになりました。
この詳しい内容については、すでに第17回研究会でご紹介しておりますので、以下の該当するホームページをご参照下さい。
第17回グローバル人材育成研究会開催レポート
この2日間にわたるトレーニングを実際に受講されたオラクルのマネージャーの感想を、宮之原氏が紹介されました。非常に好評で、満足度もきわめて高い(94.6点/100点満点)結果が出たそうです。
最後に、脇田講師と宮之原氏に並んで登壇いただき、参加者との活発な質疑応答をおこなって終了となりました。
研修を通じての知識の習得から、実践のサポートまでを一連化していく日本オラクル様のすばらしい取り組みを報告いただき、参加された人事担当の皆様は大きな励ましを得られたのではないでしょうか。
宮之原様、脇田先生、本日はありがとうございました。